胸と病気の関係~胸が大きくなる病気と、胸にできるしこりについて

胸と病気の関係~胸が大きくなる病気と、胸にできるしこりについて

「胸」は男性にも女性にもある部位ですが、「乳房」ということになった場合は生物的にみて女性である人の胸部を指すことが多いかと思われます。
この乳房は非常に大切な部位ではありますが、さまざまな「病気」にかかる箇所でもあります。

今回は胸と病気の関係を、「大きくなる」というキーワードを使ってひも解いていきましょう。

胸が不自然に大きくなる病気~乳房肥大症について

成長の過程で、胸が育っていくのはごく自然なことです。女性の体は思春期に差し掛かると、女性ホルモンの影響を受けて、女性らしいふくらみや丸みを帯びた体つきへと変化していきます。子どもを生み、育てることができるように乳房も発達していくのです。

また、意外に思われるかもしれませんが、生まれたばかりの乳児にも胸のふくらみを確認することができる場合もあります。これは男児であっても女児であっても見られる可能性のある症状です。生まれたばかりのときに見られる乳房のふくらみは、思春期のときに起きる「乳房の成長」とはまったく異なる意味を持ちます。

胎児は胎盤を通して、母体から栄養や女性ホルモンをもらうことになりますが、生まれたばかりのころはこの女性ホルモンの影響が色濃く出て胸がふくらむことがあるのです。ただしこちらは、生後3週間程度で自然に消えます。

ただ、この2つのケースにあたらないのに、胸が不自然に大きくなることがあります。
これを指して「乳房肥大症」と呼ぶことがあります。

乳房肥大症には、大きく分けて2つのパターンが考えられます。

1つめは、本来はまだ成長期にかかっていない状況の女児に起きるもの。
もう1つは、男性に見られるものです。

1つめのケースから見ていきましょう。

個人差はあるものの、私たちの体はだいたい小学校5年生~6年生あたりから女性ホルモンの影響を受けるようになるのが一般的です。しかしそれよりもずっと早い段階で乳房の肥大が見られることがあります。この場合、目の痛みなどのほかの症状が出てくるケースもあります。

2つめのケースは、男性の胸が大きくなる状況を指します。あきらかに肥満体型であり脂肪が胸部についている……というような状況でもないかぎり、男性の胸が極端に大きくなることはありません。しかし時折、この乳房肥大症の症状が見られることもあります。

この2つの原因は、実にさまざまです。

「○○だけが原因である」と素人判断ではなかなか言い切ることができません。ただ、女性ホルモンの影響を受けて乳房肥大症が起きる可能性は高いといわれています。腫瘍が卵巣などに存在する状態だと、乳房肥大症が起きるリスクが生まれます。また、肺や肝臓の病・障害によって乳房肥大症が引き起こされる可能性もあります。特に男性の場合は、この「病気」を疑う必要があります。また、薬の副作用によってこの症状が出ることもあります。

乳房肥大症の治療においては、原因をつきとめてそれに対してアプローチしていく姿勢が求められます。腫瘍が原因なのであれば、当然それを取りのぞく手術を検討する必要があります。また、ホルモン治療も視野に入ってきます。薬の副作用で乳房肥大症が起きた場合は、服薬を中止する必要が出てくることもあるでしょう。ただし、薬の服用の中止は慎重に判断するべきものです。「きっと薬が原因に違いない」と考えて勝手に服薬を中止することは極めて危険です。必ず医師の診療を受けて、その診断を仰ぐようにしてください。また、服薬指示にきちんと従うようにしてください。

胸にできたしこりについての話~乳がんについて

「胸 大きい 病気」というキーワードで調べる人のなかには、「胸のしこり」を気にしている人もいるのではないでしょうか。これについても解説していきます。

「胸のしこり」と聞いてまず真っ先に思い浮かべる病気は、やはり「乳がん」でしょう。男性の体を持っている人でも乳がんに罹患する可能性は極めて低く、乳がん全体のわずか1パーセント以下だといわれています。そのため、「乳がん」という言葉は、特段の記載がない限り、女性の体を持っている人を対象とする病気だと考えて間違いありません(ここでもその意味で使っていきます)。

乳がんは、実は2つの種類に分けられます。乳管(胸の中に通っている管)からできる「乳管がん」と、小葉(乳管と繋がっているもの。この小葉から、乳汁が出ることになる)からできる「小葉がん」です。ほかの種類もありますが、かなり珍しいものであるため、ここでは割愛します。また実際の現場ではこの2つは区別されますが、一般論として論じられる場合は「乳がん」とまとめて呼ばれることが多いかと思われます。

マンモグラフィ検査などで乳がんを発見することができます。ただ、比較的自分でも分かりやすいがんであるため、自分自身やパートナーによって乳がんであることが発見されることもあります。

そのきっかけとなるもののなかで、もっともわかりやすいのが「しこり」でしょう。乳がんが進んでいくと、胸を触ったときにしこりが発見できるようになります。このしこりは、最初は2~3センチ程度の大きさで見つかることが多いとされています。それ以下のときは、触ってもすぐにそれとわかることはあまりありません。

この「しこり」は乳がんであることを示す非常に大きな手掛かりとなるのですが、放っておくとどんどん大きくなっていきます。1年間で2倍程度にまで膨れ上がるとされています。

乳がんは、早期発見と早期治療を行うことにより、生存率を大きく高められる病気です。

上で挙げた「2センチ以下」の段階ですぐに病院に行き治療を開始した場合、10年生存率は89.1パーセントと非常に高い数値をマークすることになります。しかし、これが「5センチ以下(もしくは転移の可能性がある状態)」となると、生存率は78.6パーセントにまで落ち込みます。加えて、しこりの大きさが5センチ以上の段階になって初めて治療を開始した場合は、10年生存率は58.7パーセント程度とかなり数値が悪くなってしまいます。

もちろん、しこりの大きさが小さくてもほかの臓器に転移が見られることもあるため、しこりの大きさ=乳がんの進行度 とまではいえません。ただ、しこりの大きさがひとつの目安となることはたしかです。

「乳がん=乳房を取りのぞくこと」と思っている人もいるかもしれません。しかし実際のところは、「乳がんになったら必ず乳房を取りのぞかなければならない」というわけではありません。「しこりの大きさが○センチいかならば必ず残せる・○センチ以上ならば必ず除去しなければならない」と決められているわけでもありません。一応の目安として、「しこりの大きさが3センチ以下であるならば温存療法が適応となる可能性が高い」とされていますが、3センチ以上の場合でも温存療法を選択することができるようになっています。

また、乳がんによって胸を取りのぞく必要が出た場合でも、保険によるフォローがあります。
一般的な意味で言われる「豊胸手術」は、「健康な胸にメスを入れたり注射を打ったりして、胸を大きく、あるいは形を整える方法」を指します。

しかし乳がんによって胸を除去した人が、乳房を再建したいということで病院(美容クリニックとしているところも含む)の門を叩く場合は、手術の性質がまったく異なってきます。美容目的で行われる豊胸手術の場合は保険が適用されませんが、乳がんによって失った胸を再建する場合は、保険適用で手術を受けることができます。

日本乳がんピンクリボン運動「早期発見の生存率」
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しこり=乳がんではない

乳がんについて詳しく説明してきましたが、実のところ、しこり=乳がん と考えるのは早計でもあります。
胸にできたしこりのうちの8割~9割は、良性のしこりです。そのため、乳がんほどの緊急性を伴うものではない症状・病気の場合の方が圧倒的多数なのです。

このような良性のしこりが見られる症状のうちの一つに、「乳腺症」があります。これはもっとも頻繁に見られる症状であり、女性ホルモンのバランスが崩れることによって起こるものです。しこりだけでなく、乳首から分泌物が出てくることもあります。痛みを伴うケースと伴わないケースがあり、前者の場合は生理前に症状が強く出るようになります。痛みが一定ではなく、月経周期によって左右される症状なのです。

この乳腺炎は、放っておいても問題のないものです。このため、原則として治療の必要はありません。しかし痛みが強く出る場合は、その痛みを軽くするための薬が投与されることもあります。

これ以外にも、しこりが生じる異常はあります。「乳腺線維腺腫」と呼ばれるものがそれで、これは痛みを伴いません。また、しこりを押すとしこりが動きます。これも乳腺症と同じく、基本的にはそのまま放置しておいても構いません。ただ、しこりが明らかに大きくなりすぎた場合などは、これを除去する必要が出てくることもあります。

なお、手術自体はそれほど難しいものではなく、局所麻酔をしてしこりを取りのぞいて終わり、という簡単なものです。

もっとも、「しこり=乳がん というわけではない」とはいっても、医療的な知識を持っていない人が「このしこりは良性のしこりか、それとも悪性のしこりか」を判断することは極めて難しいものですし、また極めて危険なことでもあります。しこりを発見したら、大きくなる前に病院に検査に行きましょう。

繰り返しにはなりますが、もし悪性の腫瘍であった場合も、早期発見と早期治療を始められれば、予後は非常に良くなります。悪性でなければ安心するでしょうし、とにかく異常に気が付いたらすぐに病院に足を運んでください。

また、このような「胸の異常」に気付けるようにするためには、自分の体に向き合い、日ごろからお手入れをきちんとしてあげることが何よりも大切です。