年齢を重ねても乳腺が発達しない……その原因と対策とは

年齢を重ねても乳腺が発達しない……その原因と対策とは

成長期を迎えると、性的特徴として女性の特徴を呈する人の体は(以下は特別に記載する必要がある場合を除き、「女性の」と記します)徐々に丸みを帯びていきます。そしてその過程で、乳腺も発達していきます。
しかし年頃になっても乳腺が発達しないケースもあります。

これはなぜなのでしょうか? また、その対策はあるのでしょうか?

乳腺の基礎知識~乳腺はいつくらいから発達する?

「乳腺が発達しないケース」についてとりあげる前に、まずは「乳腺とはどのようなものなのか」について解説していきます。

乳腺とは、乳児に母乳(乳汁ともいう。ただし「乳汁」はヒトを含む動物全般のものを指すことが多く、「母乳」は人間のものを指すことが多いため、ここでは「母乳」とする)を与えるために必要になってくる器官です。
袋状の「腺細胞」と呼ばれるものが乳腺の「腺房」を作っています。これらが集まって「小葉」と呼ばれるものになり、そしてこの「小葉」を集まったものが「乳管」となります。

乳管は乳頭に繋がっており、ここから母乳が分泌されます。母親の体内で生成され乳管を通って出てくる母乳は、乳児が育つために必要な栄養素と免疫力向上効果を持っています。その優秀さは、どれほど優れた人工乳であってもかなわないとされています。ただ、母乳が出るかどうかは個人差が大きいものですし、「母乳でなければ子どもが育たない」というわけではありません。人工乳を使ったら乳児が健やかに育たないというわけではありません。

乳腺は乳児を育てるために使われるものですが、その存在は胎児のころから確認できます。すでにお腹にいる間に、次代の子どもを育てるために使われることが多い乳腺が作られていくわけです。

生まれた後の乳腺の発達には、性差と個人差が関わってきます。
性的特徴として男性の特徴を呈する人(以下、特段の記載が必要とならない限りは「男性」とします)は、乳腺はそれほど発達しません。乳児期や思春期、あるいは50代以降で「女性化乳房症」といわれる「胸がふくらむ症状」が起きる可能性はありますが、基本的には平らなままで終わります(ただし、遺伝的女性化乳房症や病気、あるいは薬の副作用で胸がふくらむこともあります)。

対して女性の場合は、10歳~12歳くらいから乳腺が発達していくことになります。初潮が起きる前後で乳腺が発達していき、徐々に胸も丸みを帯びていくようになります。このような変化は、胸だけではなく、ほかの部位にも見られます。
その後乳腺(胸)は変化を続けます。15歳くらいで成人女性と近いバストのかたちをとります。

ただ、乳腺が完全なかたちとなるのは、妊娠~出産を経てからだといわれています。もともと乳腺は子どもに母乳を与えるための器官であることを考えれば、ある意味ではこれはごく自然なことだといえるでしょう。なお、余談ではありますが、「バストサイズの大小」は「母乳の分泌量」とはそれほど関係しません。乳腺の発達はバストサイズに影響を与えないとまではいえませんが、バストの90パーセント近くは脂肪であるため、バストサイズを決める要素として大きいのは「脂肪分」だからです。母乳の出に関わっているのは、「乳管が詰まっていないかどうか」です。小葉で作られた母乳が乳管を伝って分泌されるからです。

乳腺には「母乳を子どもに与える」という役割があるため、それが終わると徐々に変化していきます。この後の「変化」は、「乳腺が発達する」というかたちではありません。閉経後(つまり妊娠をすることがない=母乳を子どもに与える役割を担うことがない)は乳腺は少しずつ「脂肪」へと変化していきます。

もっともこのような変化は、多分に個人差を含むものです。もっと早い段階で乳腺が発達することもありますし、もう少し遅く乳腺が発達することもあります。また閉経のタイミングは人それぞれ異なっています。閉経は50歳程度のときに起きるといわれていますが40代で閉経を迎える人もいますし、60代になってから閉経を迎える人もいます。

個人差はあるものの……

人間の体は、100人いれば100通りの、1000人いれば1000通りの異なった状態を示すものです。そのため、「平均」や「基準値」はあるものの、「正解」があるわけではありません。上でも述べましたが、乳腺の発達にも個人差があるわけです。

しかしながら、「平均」「基準値」から大きく離れているのであれば、自分の体に一度向き合ってみるべきだといえるでしょう。これは「平均から・基準値から・ほかの人の体から離れているからみっともない」という理由ではなく、「平均や基準値から大きくかけ離れている場合は、その原因となる大きな病気が潜んでいる可能性があるから」です。異常に気付き早くから対応することで、症状の早期治療が見込めます。

乳腺に限っていうのであれば、「著しく成長が遅いこと」が一つの基準となるでしょう。

バストは初潮の前後から発達し始めます。初潮が起きる1年ほど前から徐々にバスト部分が大きくなり始め、初潮から3年後ほどまでの間に成長していくことになります。多少幅を持っていうと、9歳~11歳あたりで膨らみ始め、15歳~18歳程度までの間でバストがある程度完成する、といえるでしょう。初潮が起きるタイミングは人それぞれ異なるので、11~12歳前後のころは同じ年齢でも胸のサイズが違うことはよくあります。

ただ、「12歳になっても、単純に『小さい』だけでなくまったく成長の兆しが見られない」などのような場合は、うまく乳腺が発達していない可能性が考えられます。単純に発達が遅れているだけならば良いのですが、女性ホルモンが乳腺にきちんとアプローチできていない可能性があるわけです。

乳腺の発達に関わる女性ホルモンとは

「女性ホルモンが乳腺にきちんとアプローチできていないことで、乳腺がなかなか発達しない」としたので、ここからは「女性ホルモン」について解説していきます。

乳腺に関わるホルモンとしてもっとも重要なものが「エストロゲン」です。エストロゲンは「卵胞ホルモン(らんぽうほるもん)」とも呼ばれるものであり、女性ホルモンの1種です(もう1つは「プロゲステロン」。黄体ホルモンとも呼ばれる)。

このエストロゲンには、3つの種類があります。

  1. エストラジオール
  2. エストロン
  3. エステリオール

1の「エストラジオール」は、成長期によく分泌される女性ホルモンです。3つのなかでもっとも強い効果を持つものであり、女性らしい体つきをつくることに役立ちます。しかし分泌量が多すぎると、乳がんを悪化させてしまうというデメリットがあります。

2の「エストロン」は閉経後によく見られるようになる女性ホルモンです。エルトラジオールは卵巣から出ますが、エストロンは副腎などで生成されます。これもまた、多すぎると乳がんの引き金となります。

3の「エストリオール」は、妊娠中によく分泌されるものです。このエストロゲンは特別で、ほかの2つのように乳がんの原因となったり乳がんを進行させたりというデメリットは持っていません。逆に、乳がん(や子宮がん)を抑制するとされています。

この3つのなかで乳腺の発達と深く関わってくるのは、主に「エストラジオール」です。エストラジオールは乳腺を発達させ、女性の体を妊娠に適した体へと変化させていきます。
バストアップや胸部分についての記事のなかではこのエストラジオールが取り上げられることがもっとも多く、エストロンやエステリオールはなかなか話題になりません。そのため、これらの記事で単に「エストロゲン」とされる場合は、この「エストラジオール」を指していることが多いかと思われます。

ケースによってはホルモン療法がとられることも

思春期の体の発達に関しては、個人差が非常に大きいものです。また、体型を気にするあまり過激なダイエットを行い、その結果としてバストが育っていない可能性もあります。このため、「治療」は慎重にしなければなりませんし、まずはライフスタイルの見直しが求められます。

しかし、「あまりにも発育が遅い」「発育の兆しが見られない」という場合、医師の判断において、ホルモン療法がとられる場合もあります。乳腺が発達しない原因として、女性ホルモンの分泌不良などが考えられるからです。このような状態の場合は、ホルモン療法によって症状が改善することがあります。

ただし、ホルモン療法は慎重に慎重を重ねて行うべきものです。そのため、現状を把握したうえで医師に相談し、医師の診断の元で行っていく必要があります。

現在は個人輸入で「ホルモン製剤が手に入る」として販売しているサイトなどもありますが、そもそもこれは違法行為です。薬事法においてはたしかに「個人で薬を輸入すること」は認められていますが、それが認めている範囲は「自己で使用するもの」と決められており、当然他の人に売ることは認められていません。加えてこれらのなかには品質・安全性が担保されていないものも多く、危険が伴います。得られる効果よりもリスクの方が格段に大きいため、個人輸入の薬に頼ることは絶対にやめましょう。
またそもそも、病院に行ってもいないのに、「現在の乳腺の未発達が、ホルモン療法によって治るものである」と断言することなどできません。

乳腺がまったく発達しないことに悩んでいるのであれば、一度病院に行って原因をつきとめましょう。その後で改善策や治療方法を考えていきましょう。