プエラリア・ミリフィカを含むバストアップサプリメントに健康被害の相談が増加していると、2017年7月13日に国民生活センターが発表しました。それでもあなたはバストアップサプリを使いますか?バストアップの正しい考え方について提唱します。
プエラリアに注意
ついにプエラリア・ミリフィカを含むバストアップサプリメントに国民生活センターが動いてくれました。
プエラリア・ミリフィカとは?
プエラリアとはタイで自生している植物です。簡単に言えば、女性ホルモンに作用する物質を含んでいます。女性ホルモンと聞くと、美容やバストアップなど良いイメージがあるため、私たち女性は気になってしまいますが、そのホルモン作用が強すぎるあまり、副作用が危惧されています。
プエラリアの副作用として、内分泌系の撹乱を起こすことが挙げられます。簡単に言えば、自力でホルモンの分泌がしにくい身体になる恐れがあるということです。
女性ホルモンはサプリメントに頼らずとも体内で分泌されます。今回の健康被害の50%以上が10代・20代の女性ですが、その若さであればプエラリアなどのサプリメントに頼らずとも十分に女性ホルモンの分泌があります。それにも関わらず、女性ホルモンを活性化させようと自らの手によってサプリメントなどを摂取し続けていると、体内で女性ホルモンを分泌する力が衰え始めます。 このホルモン分泌の衰えは不妊症の原因にもなると下記サイトでも言及されています。
要するに自力でホルモンの分泌がしにくい身体になる恐れがある
ミロエステロールという強力な女性ホルモン活性物質の存在による内分泌撹乱作用である。植物起源とはいえ、「プエラリア(ガウクルア)」に含まれるミロエステロールやイソフラボンは生体にとっては異質の化学物質(xenobiotic)であり、いわゆる環境ホルモンと同様の作用、すなわち内分泌系の撹乱を起こすことに留意する必要がある。
木下武司、「プエラリア(ガウクルア)の安全性に問題はないのか?」、生薬、薬用植物(薬草)と身近な野生植物(野草)のページ
健康被害まとめ
プエラリアミリフィカを含むバストアップサプリメントやクリームなどが市場に出回り始め、最近ではあらゆるところで販売されており、バストアップのためにはプエラリアが必要という認識が世に広まりつつありました。しかし、プエラリアの市場流通が増え始めた2015年から比例して健康被害も増加しています。
女性特有の生理作用に悪影響
プエラリア・ミリフィカを含む健康食品に関する危害情報が 2012年度以降の5年間あまりで209件寄せられており、特に2015年度以降増加しています。
これらの中には消化器障害や皮膚障害といった一般の健康食品でもよくみられる危害事例のほかに、月経不順や不正出血といった、女性特有の生理作用に影響を及ぼしていると考えられる特徴的な危害事例が多く見受けられます。http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html、独立行政法人 国民生活センター
健康被害者の50%以上は10代・20代の若い女性であり、危害内容は消化器障害や皮膚障害、月経不順や不正出血が多くあります。
10代・20代の女性のバストは大人バストへ成長段階であり、思春期ということもあって、十分にホルモン分泌が行われている健康な身体です。それなのに、プエラリア・ミリフィカを含むバストアップサプリメントを摂取することで、ホルモンの過剰分泌をまねいていしまい、健康被害が増加したと考えられます。
一方で、なかなか理想のバストサイズにならない、バストが大きくならないというコンプレックスが、簡単にすぐにバストアップできるというイメージが先行するバストアップサプリメントの摂取を促進したと考えられます。
健康被害の声
インターネットの口コミを見ると、「バストアップに成功した」という効果を実感された方の声を多数見られれますが、健康被害があり効果もなかったというネガティブな口コミについてはあまり見られません。健康被害があり効果もなかったという方は果たして本当に少数派なのでしょうか?それとも情報操作があるのでしょうか?
大量の不正出血
通信販売で女性らしい体型になるという健康食品を定期購入し、初回分を飲んでいると大量の不正出血が起こった。この健康食品が原因とは思わずに飲み続けていたが、病院に行くと、子宮内膜が厚くなっているとのことで、健康食品との因果関係は分からないが飲まないよう言われた。返品したいと言うとコース代金でなく単品価格で買い取ってもらうと言われたが納得いかない。
福岡県、女性、30歳代、http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html、独立行政法人 国民生活センター
生理が2カ月も遅れている
高校生の娘がモデルのブログを見て、バストアップやダイエットのサプリメントに興味を持ち、定期購入で契約。サイトには5回目以降は連絡ひとつで休止でき、90日間全額返金保証と書かれているが、契約日から5カ月以上経過している。生理が2カ月も遅れていて心配。
滋賀県、女性、10歳代、http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html、独立行政法人 国民生活センター
サプリメントの服用をやめたら体調は回復
ブログサイトのバナー広告からサプリメント販売サイトにアクセスし、最低購入回数4回の定期コースを申し込んだ。服用を継続したところ、生理が止まってしまいサプリメントの服用をやめたら体調は回復した。
群馬県、女性、30歳代、http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html、独立行政法人 国民生活センター
バストに発疹が出てきた
バストUPとスリムUOを同時にかなえるというサプリを定期購入したところ、全部飲み終わらないうちにバストに発疹が出てきた。医者の治療を受けたが、ホルモンが増え乳腺症が起きているので飲用を止めるよう指示された。
長野県、女性、20歳代、http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html、独立行政法人 国民生活センター
海外でのプエラリア
プエラリア・ミリフィカは女性ホルモンに働きかけることはわかっていますが、その安全性については十分な検証データがないのが今、2017年7月14日現在の状況です。
アメリカ | 食品として摂取する場合には、十分な安全性データはないものの直ちに危険とはされていない |
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EU | 新規食品として未承認であるため販売ができない |
韓国 | 女性ホルモン様作用を持つとの理由から食品への使用が禁止されている |
香港 | シンガポールで10歳代の女性がプエラリア・ミリフィカを含むクッキーの摂取により腹痛や下痢を起こしたという事例を発端に、注意喚起がなされている |
タイ(原産国) | 食品に使用する場合には十分な安全性データはないとされており、健康食品などにより摂取する場合には1日の摂取量がプエラリア・ミリフィカ末として100mgに制限されている |
http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html、独立行政法人 国民生活センター
お隣の国、韓国ではプエラリア・ミリフィカは禁止されており、原産国のタイでさえ、摂取量についての制限があります。各国の状況を考慮すると、日本はプエラリア・ミリフィカについては対応が少し遅かったのかもしれませんが、今回の国民生活センターの注意喚起により、消費者の意識が変わったはずです。これ以上、バストアップに悩む女性に健康被害がでないことを望みます。
なぜバストアップサプリとして使われたのか?
そもそも、プエラリア・ミリフィカはなぜバストアップサプリとして使われたのでしょうか?
バストアップの仕組み
まずはバストアップの仕組みについて解説します。
バストは主に乳腺と脂肪で構成されています。
乳腺とは赤ちゃんに母乳をつっくて飲ませてあげる役割を担っています。思春期のころから乳腺が発達していくにつれ、乳腺を守るために脂肪がついてきます。脂肪は乳腺を守るクッションのような役割を担っています。このように、乳腺が発達して脂肪がついていくことでバストは大きく膨らんでいきます。
乳腺を発達させるために
乳腺の発達にともない、そこに脂肪がつくことでバストアップしていくため、多くのバストアップサプリメント販売業者は乳腺を発達させることに着目します。
乳腺を発達させるためには女性ホルモンの作用が必要だ、それなら、女性ホルモンに作用する物質を含む、プエラリア・ミリフィカをサプリメントに入れよう、という理論でプエラリア・ミリフィカを含むバストアップサプリメントが誕生したのです。
プエラリア・ミリフィカを含むバストアップサプリメントは芸能人やモデルなどのインフルエンサーを通して、また、テレビやインターネット、雑誌などのマスメディアを通して、瞬く間にバストアップサプリとして拡まっていきました。
結果は健康被害が続出
結果は上述のように、流通数と比例して健康被害が続出しています。
健康的な女性であれば女性ホルモンは正常に分泌されます。それなのに、プエラリア・ミリフィカの口外摂取により人工的に女性ホルモンを活性化させようとすることでホルモンバランスが乱れ、健康被害が起きてしまったのです。
そもそも、女性ホルモンを活性化させることで乳腺が発達して、脂肪がついて、バストアップする、という医学的見地から立証できるデータは2017年7月13日現在ありません。
バストアップという女性特有のコンプレックスを煽る商材としてプエラリア・ミリフィカが使用されてしまったことはとても残念に思えます。プエラリアは使い方によっては人類のための自然の恵になる可能性を十分に秘めているからです。
どうすればバストアップする?
バストアップに悩む女性は多くいます。プエラリア・ミリフィカを含むバストアップサプリに健康被害が起きてしまった事実は、希望をもってサプリメントを摂取していた女性をがっかりさせてしまったかもしれません。そもそも、バストアップについてはこうすればバストアップするという医学的に立証された方法はありません。バストアップマッサージもかえって、バストを支えるクーパー靭帯を損傷させバスト下垂を促進しかねないと思っています。
バストアップについてこう考えています。栄養バランスのとれた食事と規則正しい生活、ストレスを溜めない、過度なダイエットをしない、適度な運動をする、ホルモンバランスを整えること、そして身体に合うブラジャーをつけること。これこそがバストアップ、いわばバストの成長への遠いようで一番の近道であると考えます。
バストは5段階で成長
ジェームス・タナーというイギリス人教授が提唱したタナー段階と呼ばれる、女性の乳房は5段階で成長していくという考えがあります。
第1期:未発達で乳頭のみ突出
第2期:乳房がやや膨らみ乳輪が大ききくなる
第3期:乳房はさらに大きく突出する
第4期:乳房肥大、乳輪と乳頭はさらに乳房から盛り上がってみえる
第5期:成人型となる、乳輪は後退するため乳頭のみ乳房から突出してみえる
バストは5段階目まで成長しきれない
ジェームス・タナーが提唱するタナー段階のように、5段階でバストは成長、バストアップしていきます。しかし、現代の日本人女性の多くはこの5段階目まで成長することがなく、バストの成長が途中で止まってしまっている女性が多いと言われています。
現代の日本人女性の多くは、思春期の若い頃からストレスや不摂生、過度なダイエットなどでホルモンバランスが乱れていることが方が多く、また、今回のようなプエラリア・ミリフィカを含むバストアップサプリなど、健康的でいれば体内で自然に分泌されるものを口外摂取することで体内で自然に分泌できない身体になってしまうこともあるため、バストが十分に成長しないで大人になってしまったと言われています。
健康が一番
だからこそ、栄養バランスのとれた食事と規則正しい生活、ストレスを溜めない、過度なダイエットをしない、適度な運動をする、ホルモンバランスを整えること、そして身体に合うブラジャーをつけることでバストの成長を妨げることなくサポートしていけると言えます。
これ以上、バストの小ささに悩む女性に健康被害がでないことを祈るばかりです。