左右差がある胸の大きさ……乳腺の発達段階によるものと大人になってからの左右差

左右差がある胸の大きさ……乳腺の発達段階によるものと大人になってからの左右差

バストのサイズは人それぞれです。また、サイズだけでなく、「かたち」にも違いが見られます。
今回はその「かたちの違い」に注目して解説をしていきます。

そもそもバストは、左右でかたちも大きさも違うもの

「左右のバストのサイズが違うこと」に悩む人は、決して少なくはありません。しかしながら、実はバストに左右差があることは珍しい話ではありません。

私たちの体のなかで左右対称になっている部位はほとんどなく、じっくり見ていくと左右差があることがわかります。足のかたちも違いますし、指の長さも異なります。また、太腿や二の腕なども、しっかり見ていくと差があることが確認できます。
バストも同じようなものであり、左右差がまったくないバストなど基本的には存在しないと考えるべきです。

このため、多少の左右差ならば特に気に病む必要もありません。それはあなただけでなく、ほかの多くの女性にも見られるごく当たり前の特徴なのです。

乳腺の成長過程でバストサイズに左右差が見られる場合もある

特に成長過程においては、バストサイズに左右差が見られるケースが多いかと思われます。周りとの違いや自分の変化に敏感になっている第二次性徴期だと、気になる人も多いのではないでしょうか。

人間の体には、「乳腺」があります。

この「乳腺」は胎児期につくられるものであり、男性の体の中にも女性の体の中にも存在するものです。乳腺は自分が母親となったときに乳児に母乳(「乳汁」ともいいますが、人間のものを指す場合は「母乳」とすることが比較的多いため、ここでは「母乳」という表現を使います)を与えるために使われる器官です。乳腺に存在する「小葉」によって母乳は作られ、乳管を通って乳頭から出てきます。この母乳は子どもの栄養になるものであると同時に、免疫力の向上にも寄与する非常に重要なものです。

このような特徴を持つことから、女性の性の特徴を持つ人(以降は、特別に分けて記す必要がある場合を除き、「女性」とします)の体の中にある乳腺のみが発達していくことになります。男性の性の特徴を持つ人(以降は、特別に分けて記す必要がある場合を除き、「男性」とします)の場合は、「乳腺は体内に存在するものの、発達はしない」ということになります。

女児・女性の場合、10歳~12歳くらいのころから徐々に乳腺が発達していくことになります。初潮の前後1~3年ほどの間に乳腺(バスト)が育ち、大人のバストに近づいていくのです。

このように乳腺が育っていく過程において、バストの左右差が見られることがあります。ホルモンの影響を受けて育つ乳腺ですが、乳腺の発達段階が左右で違うことがあるからです。また、単純に脂肪の付き方が異なっているため、左右差が生じる場合もあります。

成長過程におけるバストサイズの左右差は、それほど気にする必要はありません。左胸だけが大きく感じてもその後で右胸が育つこともあるからです。また、成長した後であっても、前述したように「左右のかたちがまったく同じバスト」になる人はほとんどいません。

成人後のバストサイズの左右差について

乳腺が成長していく過程で、バストサイズに左右差が生じるのはよくある話です。多くの場合、異常は認められません。
ただ、「大人になった後でも、バストサイズに違いが見られる」という場合もあるでしょう。病気によるもの(後述します)もありますが、日ごろの生活習慣や体の状態によってバストサイズに左右差が出てくる場合もあります。

その原因の一つとして、左右で筋肉のつき方が異なるというものがあります。

私たちの胸は、10パーセントの乳腺と90パーセントの脂肪でできています。ご存知かと思われますが、脂肪は非常に柔らかいものです。この「脂肪(胸)」は、胸の筋肉である胸筋の上にのっかっています。
胸筋はバストを支える土台となるものですから、これがしっかりしていれば上に積み重ねた脂肪もくずれにくくなります。「胸筋を鍛えることで、胸の型崩れが起きにくくなる」といわれるのはこのためです。また、胸筋には「厚み」もありますから、しっかり胸筋を鍛えておけばその分バストサイズもアップします。

このように、「胸筋」は多くの場合で私たちのバストによい影響を与えます。しかしながら、胸筋の発達具合によっては、バストサイズの左右差が出てきてしまうこともあります。

テニスなどを激しく行う人は、テニスラケットを持つ腕(多くの場合は右手だと思われますので、ここでは「右手」と仮定して話を進めていきます)側の筋肉が発達していくことになります。腕は胸筋ともつながっているため、右側の筋肉の方が左側の筋肉に比べて発達していくわけです。また、どれほどの影響があるかは断定できませんが、「いつも同じ手で重い荷物を持っている」などの行動も、胸筋の筋肉量に差を出す原因だといわれています。

前述したように、脂肪と乳腺は「胸筋」の上にのっています。また、胸筋の厚み自体もバストサイズに影響します。このため、片方の筋肉だけをつけ続けた結果、左右のバストサイズに差が生じる可能性があるのです。

胸筋に関するもの以外で指摘したいのが、「姿勢」によるものです。
私たちの胸は、血液から酸素や栄養を受け取って育つことになります。そのためバストの発達には、「血液の流れ」が深く関わってくることになります。血液がうまく流れていないとバスト部分に酸素や栄養が届けにくくなってしまいます。この結果として、バストがなかなか育たなくなることがあるのです。猫背になっているなど、姿勢が悪い場合は血液の流れが妨げられ、バスト部分に酸素と栄養がきちんと供給されないなどのトラブルが起きる可能性が高くなります。

もっとも、このような「姿勢の悪さ」によってバストサイズに「左右差」が出る可能性はそれほど高くはありません。どちらかの乳腺に対してだけ酸素と栄養が供給されにくい姿勢を取り続ける人は、ほとんどいないからです。そのため、この「姿勢とバストの関係」は、左右差とは無関係とまではいえないものの、実際には「バストサイズが育たない理由」として取り上げられることが多いものである、ということになります。

バストサイズの左右差が気になる場合は?

乳腺の発達過程による左右差はある意味ではごく自然なものですし、基本的には気にする必要はありません。
しばらく様子を見る……というかたちで対応していくかたちで構わないでしょう。

大人になってからの左右差が気になるようならば、ストレッチを行ったり体幹のトレーニングを行ったりするとよいでしょう。これらの軽い運動はバストサイズの左右差に対してアプローチできるだけでなく、心をリラックスさせてくれるなどのメリットもあります。

病院に行った方がよいケースについて

ただ、「左右差」のなかでも病院に行った方がよいケースもあります。

その代表例が、しこりでしょう。

女性に多く見られることがある「胸のしこり」ですが、これによってバストに左右差が生じる場合があります。非常に大きなしこりができることもあり、大きく胸部分が膨らんでしまう可能性もあります。このような状態になった場合はすぐに病院に行きましょう。また、左右差が生じていなくても、手で触ったときにしこりが感じられたのならば病院に足を運ぶべきです。
なお、「しこり=乳がん」と思う人もいるかもしれませんが、現実には良性のしこりであることがほとんどです。

しこりのうちの80~90パーセント程度は良性に分類されます。ただ、知識や検査なく、「そのしこりが悪性か良性か」を判断することは極めて難しいでしょう。安心感を得るためにも、一度は医師の診察を受けてください。
また、左右差が非常に大きく、胸のかたちがアンバランスな場合は、しこりがなくても一度診察を受けた方がよいでしょう。「特に異常ではない」と判断されればそれで安心できますし、異常性が認められるのならば早期に治療を開始することができます。

病気ではなく、しこりでもない。ただ、左右の胸のサイズがアンバランスなので、見た目として気になる。ストレッチが効果的だというが、コンプレックスになっているのでできるだけ速やかに解決したいという場合は、豊胸手術を行うことで解決できます。

豊胸手術は病院で行うことになるものですが、単純に両方の胸を大きくする施術以外にも、「左胸の大きさだけを調整して右胸と同じ大きさにする」などのように、悩みに応じた施術が可能です。ヒアルロン酸注入による豊胸手術は手術時間も短く、大きさも調整しやすいとして人気を博しています(ただし、ヒアルロン酸はそのうち体内に吸収されます)。

なお、「すぐに効果を出したいが、豊胸手術までは考えていない」という人は、下着に工夫をするとよいでしょう。パットなどを入れ込んで、左右の胸のバランスを取っていくのです。もちろん下着を外せば「いつもの胸」に戻ってしまいますが、見た目の印象は変えられます。

乳腺の発達は人それぞれで異なるものですし、左右のバストサイズが違うこともよくある話です。そしてその多くは、「個人差」の範囲にとどまり、治療を必要としません。

しかししこりが見られたり、また「病気ではないけれど自分自身でどうしても気になる」と感じたり、あまりにもバランスが悪すぎたりする場合は、一度医師に診てもらった方がよいでしょう。