「バストアップクリーム」と呼ばれるものはある? その効果と成分

「バストアップクリーム」と呼ばれるものはある? その効果と成分

「大きな胸になりたい」

「美しいバストラインを作りたい」

「胸のかたちを整えて、豊かなバストを作りたい」

このように考える人は多いものです。

こんな願いに応えるべく、さまざまな会社がさまざまな商品やサービスを提供しています。サプリメント、クリーム、手術……。それぞれがそれぞれの特徴を持っていますが、今回はそのなかから「クリーム」について取り上げていきます。

バストアップクリームに含まれている「ボルフィリン」という成分について

「バストアップクリームの成分」をとりあげるときに、必ずといっていいほど話題にでるのが「ボルフィリン」と呼ばれる成分です。これは、ユリ科に属する「ハナスゲ」という植物の根に存在するものであり、「サルササポゲニン」と言われる原料を利用しているものです。

このボルフィリンについては、臨床実験として、「これを塗布した人の胸のサイズが大きくなった」という研究結果が出ています。これはフランスで行われた実験結果であり、セダーマ社が行った実験です。
これは、18歳から35歳までの女性を対象として行ったものであり、ボルフィリン5パーセント入りのクリームを1日に2回、2か月間にわたって塗ったところ、81CCほど胸が大きくなったとする研究結果が出たものです。

これにより、「ボルフィリンは、脂肪を増やし、バストアップを行うことができる成分である」と考えられるようになりました。また、ボルフィリンのなかに含まれるサルササポゲニン含有組成物に関しては、特許が取られています。

このセダーマ社の研究と研究成果は、広く世界に知れ渡りました。この結果として、日本でもこのボルフェリン入りのバストアップクリームが多数販売されるようになりました。

BODY’s PRO「“ハリ”と“弾力”のある美しいバストへ」
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CONCERTS ENGINE「(12)特許公報(B2) サルササボゲニン含有組成物」
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この研究結果が持つあやうさと薬機法のお話

このような研究結果だけを見ると、「ボルフィリン入りのバストアップクリームを塗れば、必ず、確実に、だれでもバストアップをすることができるのだ。何しろ特許をとった成分だし、おまけに臨床実験の結果も出ているのだから」と感じる人もいるでしょう。実際、この研究結果を、「まったく意味のないものだ」と言い切ることはできません。

ただ、この研究結果だけを見て、「ボルフィリン入りのバストアップクリームを塗れば、どんな人でも胸が大きくなる」と考えるのは危険です。

まず、「ボルフィリンのなかに、どれくらいのサルササポゲニンが含まれているか」ということが問題になってきます。
加えて、もうひとつ大きな問題があります。それが、薬機(旧薬事)法による制約です。

現在の日本においては、「クリームだけでのバストアップ効果」を謳うことは法律で禁じられています。個人差はあるものの、「これを塗るだけで、ほかに何もしなくても胸が大きくなるバストアップクリーム」は存在しないのです。そのため、現状では「バストアップクリーム」という呼び方も基本的には避けられています。
慎重に記載するのであれば、「バストケアクリーム」のような呼び方になるでしょう。

また、これ以降は特別な理由がない限り、「バストアップクリーム」ではなく「バストケアクリーム」という呼び方を使っていきます。

さらにいえば、このボルフィリンによるバストアップ効果についても、やや懐疑的な見方も出ています。母集団が30人しかおらず、この結果をもって、「普遍的に、どんな人であっても、確実に効果が出る」とまで言い切ることはかなり難しいといえるでしょう。

もっともこれは、ボルフィリンの効果を否定するものではありません。ただ、盲信したり、これを使えばだれでも胸が大きくなると考えたりすることは時期尚早だとはいえます。

コラーゲンならば大丈夫? コラーゲン入りのバストケアクリームを考える

では、よく知られた「コラーゲン」を配合したバストケアクリームならばどうでしょうか。ボルフィリンとは異なり、非常によく耳にする単語であるため、これを使えば胸のハリが戻り、バストアップができると考える人もいるかもしれません。また、コラーゲンとあわせて論じられることの多い「エラスチン」「ヒアルロン酸」についても取り上げていきましょう。

コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸は、すべて私たちの肌に存在しているものです。コラーゲンは肌や軟骨などに存在するたんぱく質をいう単語ですし、真皮層の70パーセント(ただし水分は除く)を占める成分です。
ヒアルロン酸もまた体内に分布する成分であり肌や軟骨の弾力を保つ重要なものです。ヒアルロン酸は、よく、「コラーゲンやエラスチンの間を埋め尽くすゼリーのようなもの」と解説されます。ゼリー状であるため弾力性と安定感を持ちます。
エラスチンは、コラーゲンを支える繊維であり、人体や肌、動脈などに存在します。ヒアルロン酸がゼリーのようなものであるのに対し、エラスチンは「ゴムのようなもの」とよく解説されます。

私たちの体に存在するコラーゲンやエラスチンなどは、実は一定のものではありません。髪の毛などと同じように新陳代謝を繰り返していくものです。ただ、紫外線にあたったり、加齢によって影響を受けたりすると、その生産量は徐々に衰えていくようになります。これは特に「顔の皮ふ」において大きな問題ととらえられますが、実は「バストサイズ」にも大きな影響を与えます。

たとえば、若いころは体の前面に突き出していたバストがたれさがってきたり、かたちを保てなくなったりする原因のうちのひとつがこの「コラーゲンなどの、加齢による減退」にあります。ちなみに「バスト下垂の原因」のなかには「クーパー靭帯の損傷」もあります。クーパー靭帯というのはバストを支える靭帯であり、無数に存在するものです。運動などによってこれが切れると二度と戻らないため、バストの下垂を招きます。

「コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンが足りないのであれば、バストアップクリームを塗って補強すればよい」と考える人もいるかもしれません。しかし実は、これは意味のないことです。コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンの入ったバストケアクリームを塗ったとしても、それが肌に浸透して肌内部のコラーゲンがよみがえることはありません。

なぜなら、肌の分子よりもコラーゲンの分子の方がずっと大きいからです。また、そもそもバストケアクリームの浸透できる範囲は、肌の一番外側の「角質層」までですから、それより下に入りこむことは決してできないのです。
もっともこれは、「現在のバストケアクリームの品質が悪いから、真皮層などに入り込むことはできないのだ」という話ではありません。それより奥に入り込んでしまうと健康被害が起きる可能性があるため、角質層までしか浸透しないように定められているのです。

現在は分子を小さくした低分子コラーゲンや低分子ヒアルロン酸なども開発されています。かつては、「飲む」方であっても、コラーゲンもヒアルロン酸も意味がないとされていましたが、現在は「効果がある可能性も否定できない」とする研究結果も出ています。ただ、これに対して否定的な意見を持つ医師もいるため、今だ明確な「正解」は決められていません。

バストケアクリームに効果はないのか?

このように考えていくと、「バストアップクリーム」と呼ばれるものは非常にその存在があやふやなものであることがわかります。ある説に基づけばたしかに「バストアップ」ができると考えることができるのですが、ほかの説や薬機法によればその考え方は明確に否定されます。

これを合わせて考えると、バストケアクリームは、「そのバストケアクリームの評価は個人差が非常に大きい。『これをつけておけば、何もしなくても勝手に胸が大きくなる』というものではない。ただ、『だれがつけても一切効果がない』とまでは断言しにくいもの」ということになるでしょう。

ただ、その「効果」がどのようなかたちで示されるのかは、また異なります。たとえば上で挙げたヒアルロン酸やコラーゲン入りのバストケアクリームの場合、「これだけを塗れば必ず胸が大きくなる」とは決していえないものの、「バストをケアすること」には非常に役立ちます。

ヒアルロン酸やコラーゲン、あるいはエラスチンといったものは、肌や関節の弾力を保つために体の中に存在するものですが、バスト(や皮ふ全般)に塗布した場合は「保湿成分」として有効に働いてくれるものです。バストを紫外線などの影響や乾燥から守り、美しくつややかで、しっとりとしたバストをつくりあげることに寄与します。しっかりと潤ったバストは、外からの刺激を受けてもダメージとして残しにくく、「きれいな胸」「美乳」の状態を保ちやすくなるのです。ここでは主にヒアルロン酸やコラーゲンを取り上げましたが、ほかにもさまざまな保湿成分を配合したバストケアクリームもあります。

また、これらのバストケアクリームは、多くの場合バストをもみほぐす際に使うクリームとしても利用することができます。バストマッサージはお風呂上りなどに行う人が多いかと思われますが、その際の指のすべりをよくし、不用意に力が加わってしまうリスクを下げることが可能です。香りのよいものは心を和ませてくれますし、また「バストケアクリームをぜいたくに使って自分の体をメンテナンスすること」自体に喜びを感じる人もいるでしょう。
この「喜び」は、バストアップにおいて意外なほどに重要なものです。ストレスがない生活の場合、ホルモンバランスが崩れにくくなります。バストを育てることに密接な関係のあるエストロゲンの分泌も乱れにくくなるのです。

バストケアクリームには、過度な期待はできません。しかし普段のボディケアのひとつとして使うのならば、有用なものだといえます。