「バストアップサプリメント」と呼ばれるものに効果はあるのか? その成分は?

「バストアップサプリメント」と呼ばれるものに効果はあるのか? その成分は?

「胸の小ささ」に悩む女性に向けて、数多くの「バストアップサプリメント」なるものが開発・販売されています。この「バストアップサプリメント」と呼ばれるものには、果たして効果はあるのでしょうか。そして、あるとすれば、バストアップが期待できる成分とはどのようなものなのでしょうか。

「バストアップサプリメント」という言葉を考える

インターネットで検索をかければ、「バストアップサプリメント」という言葉はたくさんヒットします。そしてこのような言葉を使っているホームページを見れば、「これを飲めばすぐにバストアップができる」「このサプリメントを飲めば、それで胸が育つ」と錯覚してしまいがちです。

ただ、気を付けてほしいことがあります。

実は、日本において、「バストアップサプリメント」と呼ばれるものは存在しないのです。

これは薬事法の制限によるものです。薬事法上、サプリメントでは「バストアップ」という言葉を利用することはできません。サプリメントはあくまで栄養補助食品にすぎませんから、特定の部位の「アップ」を謳うことは決してできないのです。このため、実は、各サプリメントの公式ページにおいては「バストアップサプリメント」「バストアップ」という表現は用いられていません。
そうであるにも関わらず、販売促進を目的とするサイトなどでは「バストアップサプリメント」という言葉が頻繁に登場しています。これらのサイトは根拠が薄弱であることが非常に多く信頼性に乏しいので、情報を集める際はその点に注意しておきたいものです。

このような特徴を持つため、個人差や個人の感想までは否定しきれないものの、「サプリメントを飲んだことで、胸が大きくなること」は確約できるものではありません。なかには「このサプリメントを飲んで胸が大きくなった」と感じる人もいるかもしれませんが、そのような効果が万人に起こることを担保できるわけではないのです。

サプリメントに対して、「これを飲めば絶対に胸が大きくなるのだ」という期待を抱くことは間違っています。

バストアップサプリと呼ばれるものに入っている成分~プエラリア・ミリフィカ

バストアップを目的とする人に飲まれているサプリメントの成分について、細かく見ていくことにしましょう。

バストアップサプリと呼ばれるものにおいて、もっとも多く使われているのは「プエラリア・ミリフィカ(「プエラリア」。明確な違いがあるわけではないが、「プエラリア」という名称は、サプリメントを代表とする「商品」においてよく用いられることが多い)」でしょう。

プエラリア・ミリフィカとは何か? その有用性

プエラリア・ミリフィカは、タイに生えている植物のうちのひとつです。マメ科のクズ属に分類されているものであり、ヤマイモのようなかたちをしています。

プエラリア・ミリフィカがバスト関係のサプリメントによく用いられるようになったのは、プエラリア・ミリフィカの持つ力にあります。
バストを育てることに関わるホルモンとして「エストロゲン」があることはよく知られていますが、プエラリア・ミリフィカはこのエストロゲンに似た成分を含有しています。その成分の名前は「ミロエストロール」「デオキシミロエストロール」などであり、特に「植物性エストロゲン」と呼ばれます。

プエラリア・ミリフィカに含まれるこの植物性エストロゲンの活性はすさまじいものです。同じように、女性ホルモンに似た構造体を持つといわれている成分に「イソフラボン(大豆などからよくとられる)」がありますが、プエラリア・ミリフィカの場合はその1000~10000倍もの活性を示すとされているのです。
加えて、プエラリア・ミリフィカは「若返り効果がある」「赴任に対して効果がある」とも言われており、多くの人に注目を浴びています。

さらに、プエラリア・ミリフィカによって女性の更年期障害が軽くなったという研究結果があります。これは、40~50代の女性23名に対して行った研究により明らかになっています。プエラリア・ミリフィカを飲んだ群はそうではない群に比べて総コレステロールやLDLコレステロールの減少が認められました。

このような研究結果を見ると、「プエラリア・ミリフィカには女性ホルモンを調整・増やす効果がある」=「だからバストアップにも効果を示すのだ」と考えてしまいがちです。

プエラリア・ミリフィカに対する懐疑的な見方

しかしながら、このように考えるのは時期尚早です。
「更年期障害を和らげることができるという研究結果もたしかにあるが、それは情報として十分ではない」とする専門家もいます。また、何よりもこの研究はあくまで「更年期障害の緩和を対象とする研究」であって、バストアップ効果を示唆するものでは決してありません。
「プエラリア・ミリフィカでバストアップができる」と断言するに足る有用性のある報告はほとんどなく、プエラリア・ミリフィカとバストアップの因果関係は照明できていません。

また、それに加えて、プエラリア・ミリフィカには数多くの危険が報告されています。

独立行政法人国民生活センターが平成29年にまとめたデータにおいて、プエラリア・ミリフィカの危険性が指摘されています。プエラリア・ミリフィカを含むサプリメントなどをとった人から209件の被害報告があがっています。

  • 吐いた
  • お腹が痛くなった、下痢をした
  • じんましんに悩まされた
  • 不正出血が起きた

などが代表的な例であり、なかには乳房などに異常が出た人もいました。
プエラリア・ミリフィカによる副作用の被害報告は、10代18パーセント・20代33パーセント・30代20パーセント・30代20パーセントとどの世代でもほぼ均等に報告されていますが、特に20代に多く見られます。

このような報告を受けて、国立研究開発法人意訳基盤・健康・栄養研究所では、妊娠中や授乳中の女性がプエラリア・ミリフィカをとることは避けるべきだとしています。

さらに難しいのは、「プエラリア・ミリフィカの一日の摂取限度量」がしっかり決まっていないことです。このため、消費者のなかにはとまどいを感じたり、とるとしたらどれくらいとったらいいのかわからなくて困ったりしてしまう人もいます。
なお、原産国タイにおいては、「100ミリグラム以下」という指針が出されています。

独立行政法人国民生活センター「美容を目的とした「プエラリア・ミリフィカ」を含む健康食品―若い女性に危害が多発!安易な摂取は控えましょう―」
Link

KAKEN「プエラリアミリフィカのエストロゲン受容体に対する作用と更年期障害に対する代替医療」
Link

国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部 健康食品情報研究室「プエラリア・ミリフィカについて」
Link

バストアップサプリと呼ばれるものに入っている成分~イソフラボン

もうひとつ、よく配合されている成分を取り上げましょう。
それが、「イソフラボン」です。

イソフラボンとは何か? その有用性

イソフラボンは、大豆によく含まれる成分です。ひよこ豆などにも含まれていますが、大豆製品に多く含まれているため「大豆イソフラボン」と呼ばれることも多いものです。

日本人にとってなじみ深い成分であるこのイソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンとよく似た構造体をしています。そのため、プエラリア・ミリフィカ同様、「植物性エストロゲン」と呼ばれることもあります。

このイソフラボンを使った研究があります。
更年期障害でよく見られる症状である「ホットフラッシュ」とイソフラボンの関係を見たものであり、日本の企業(ニチモウ)とアメリカの大学(ハーバード大学)が30代後半~60代の女性190人を対象として行われました。対象者は190名であり、そのうちの147名がこの研究を完了させました。

イソフラボンを40ミリグラム摂取するグループ、60ミリグラム摂取するグループ、そしてまったく摂取しないグループに分けてデータをとったものであり、その結果として、「イソフラボンを摂取していた群は、摂取していない群に比べて、ホットフラッシュが起きる頻度や程度が改善した」ということがわかりました(ただし、「イソフラボンの摂取量が多い群の方が、イソフラボンの摂取量が少ない群に比べてより改善がみられた」というデータは出ていません)。

更年期障害が起きる原因のひとつが、女性ホルモンの減少です。そしてエストロゲンの分泌量やバランスは、バストサイズとも関わっています。このように考えれば、「更年期症状を改善できるイソフラボンには、バストアップの効果を見込める」と思ってしまう人も多いことでしょう。

イソフラボンに対する懐疑的な見方

ただ、このような結果は出ているものの、イソフラボンがエストロゲンに成り代われるものであるかといえば、答えはNOです。
イソフラボンの効果は、エストロゲンの1000分の1から10000分の1程度だとされています。このため、「イソフラボンを摂取していれば、エストロゲンと同じような効果が得られる」とはなかなか言い難いところがあります。

なお、イソフラボンはプエラリア・ミリフィカとは異なり、「普段食べている大豆製品に含まれている成分だ」という安心感があるため、「どれだけたくさん食べても大丈夫なのだ」と考えてしまいがちです。
しかし実は、1日の摂取限度量の目安は75ミリグラムまでとされています。イタリアで行われた研究で、「1日に150ミリグラムの摂取を続けていた群は、健康上の被害が現れた」という結果が出ているからです。特に、サプリメントでの摂取量は30ミリグラム程度に抑えるべきとされています。

イソフラボン倶楽部「更年期とイソフラボン」
Link

イソフラボン倶楽部「よくある質問」
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「バストアップサプリ」というものは存在しませんし、またサプリメントの成分には扱いに注意が必要なものもあります。
ただ、サプリメントすべてがまったく無駄なものかというと、そうではありません。たとえば胸の素材となるたんぱく質などを配合したサプリメントは栄養補助のためのアイテムとして有用です。

付き合い方を見直し、正しい知識を持ったうえで使えば、サプリメントは私たちにとって力強い味方となるでしょう。